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第六話 識別

こんばんは


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カテゴリ欄の『小説』に書き溜めていきますので、
そちらからアクセスいただくと読みやすいと思います。

※この小説はフィクションです。
 実在の人物、団体名とは一切関係ありません。

原作
白鯨百一氏作:本土決戦







十九世紀頃から世界は「民主主義」の方向に流れていった。

民主主義とは神や王様ではなく、人間の為に国家がある、というそれだ。

民主主義、つまり人間主義は、三つの流派があるといわれている。



一つは自由人間主義だ。

ミルトン・フリードマンという学者が唱えた「市場原理主義」を口実とする、空想的自由主義だ。

人間が本来もっている権利やその行動は、すべて資本に通ずるとする考え方の総称で、資本主義ともいわれる。

資本主義は人間の自由な欲望に重きをおくことによって、エネルギーを生み出そうとするやり方だ。

日本も一応この自由主義陣営の国だった。



二つ目は社会人間主義。

公共や福祉、人々の平等に重きをおき、人々の欲望とエネルギーを管理する仕組みだ。

ロシア革命以来、多くの共産主義国家が生まれたが、私が生まれる頃にはその多くが崩壊していた。

人間の欲望の管理には限界と矛盾があった。

一つの国や、一人の人間が完全にどちらかを選択することなどは有り得ない。

我々日本にも生活保護や社会保険やら補助金やら、社会主義的な仕組みはたくさんあったし、

また、いくらソビエトに生まれたからといって、好きな結婚相手を選べないわけでもなかった。


あなたが好きな食事をコンビニで買いこみ、好きな映画を自分の部屋でゆっくり楽しみたいなら、

じゅうぶん自由人間主義の素養をもっているといえるし、

同時に、コンビニのレジの行列に割り込む客に腹を立てるなら、

じゅうぶん社会人間主義の資質を持っているともいえるだろう。





さて、三つ目の人間主義の流儀とは、残念ながら・・・

それはご法度、封印された人間主義だ。



つまり、、、進化人間主義だ。



人間の進化に重きをおき、人類を発展させる人間主義だ。

脆弱な動物だった人間は、ただ進化によってのみ、いまの地位を築いた。

これ以上進化できなかったとしても、動物的な退化は人類の破滅を意味する。

したがって、人類はいつも進化を掲げなければならない。

なぜ封印されてしまったかというと、戦前、悪名高きナチスがこの進化人間主義を前面に押し出したからだ。





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進化人間主義は、人の優劣以前に、人種の優劣にまで神経質になった。

「退化したらおしまい」という強迫観念を人々に与えた。

多くの極右思想は、この進化人間主義を基盤としている。

戦後、この進化人間主義の切り口で発言した政治家は少ない。



しいていえば、八十年代サッチャーは自国のイギリス人労働者が

「ゆりかごから墓場政策」でなまけ者になった、と女性らしいヒステリーで喝を入れた。


ケネディは「アメリカが自分たちになにをしてくれるかではなく、自分たちがアメリカになにができるかを考えよう」と演説し、

同じく国民に喝を入れた。


三島由紀夫という作家は、切腹までして日本人の動物的退化を訴えたが、

誰も相手にしなかったし、それは近所迷惑な行為くらいにしか思われなかった。



進化人間主義とか、極右思想といえば大袈裟だが、

もしあなたが太り過ぎないように食事を制限したり、運動をしようなどと思えば、

たまには本を読んで教養を身につけようと思えば、あなたは十分すぎる進化人間主義の素養をもっているといえるだろう。





・・・第七話につづく。

第七話 萎縮

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原作
白鯨百一氏作:本土決戦






『退化が始まってしまったら、おしまい』という点において、ヒトラーの考えはまんざら間違いではなかった。



しかし、民主主義において国民は政治家にとって「票を入れてくれるお客様」である。



また、マスコミにおいても視聴者は同じく「お客様」である。

大衆にとって耳障りの悪いことは決して言わなかった。

むしろ、テレビの前で過ごす時間が長くなり、国民がその情報に呑まれ怠惰になればなるほど、都合がよかった。



『国民のため・・・、国民のため・・・、政治は国民の皆様のため・・・』



少しでも大衆の機嫌を損ねる発言をすれば、指導者であるはずの彼らは平謝りし、心にもない謝罪を繰り返した。

もうこの茶番劇は数十年前から繰り返し上映されている。



国民が現実から目を背ける「嘘つき」なら、その代表者たちは全てを隠そうとする「大嘘つき」だ。

どっちもどっち、国力低下を止めようとは決して動かない、同じ「傍観者」だったということだ。






いまにして思えば、

「なんでも政治のせいにするな!

その代表者は諸君が選んだのではないか!

いつまで経っても海外依存から抜け出せないのは、日本国民が昔に比べ、臆病でケチで怠け者になったからだ!

いい加減目覚めろ、この野郎!」



と、発言する横暴な政治家がいたとしたら、どんなに良かったことだろう。





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もしかすると、今の日本も変わっていたかもしれない。




東京オリンピックの後の二十年は後退、後退、また後退であった。

私は三十代の後半から、できるだけ外食を避けるようになったし、買い物もできるだけ通販で済ませるようになった。

飲食店に行くと陰気な店員に遭遇したり、隣のテーブルに座っている家族が

カネのことで喧嘩している場面に遭遇する機会が増えたからだ。

しかし、運賃の高騰でその通販も贅沢になったし、昔みたいにすぐ配達されなくなった。

一ヶ月くらい待つことはざらだった。

配達前にその中身を配達員に盗み見られたり、場合によっては抜き取られていることすらあった。

どちらにしても、注文をした時点でそのデータは海外企業に筒抜けなわけだから、

配達員が見ようが見まいが大差はないのかもしれない。




また、多くの個人商店や零細企業が2020年から2030年の間に廃業や倒産で姿を消していった。

そのほとんどが、2021年の世界的経済危機でなくなっていたのだが、

私が四十五の頃にはスーパーをはじめとした小売店もそこで売っている品物も、海外の大手企業のものだけになった。


というより、世界から日本企業というものが消えていったのだ。


着るもの、食べるもの、住む建物。

自動車も通信機器も保険も日用品から雑貨まで、ありとあらゆるものが外国産だ。

税金はそのほぼすべてが彼らに刈り取られてゆく。




いったい「誰のため」に生きているのか・・・

考えても生活は変わらないので、考えるのをやめた。



幸か不幸か、私たちには購買力がなかったので、それほどインフレにはならなかったが、国力の低下は明らかだった。

多くの人は超巨大スーパーに行列を作って、一日がかりで一週間分の物資を買い集めていた。

もう、そうするしかない状態でもあった。



なによりも悲惨だったのは、2020年頃に流行した例のウイルスの再来だ。

その時はおよそ2年で終息し、多くの犠牲者は出したものの開発されたワクチンの効果は絶大なもので、

いまでは子供の予防接種項目にまで組み込まれている。



しかし2030年、より強力で、より凶暴化したウイルスが世界に蔓延する事態が起こる。

前回のウイルスに感染し、体内に自己免疫を得ていた人は、かろうじて生き延びることができたが、

ワクチン接種だけでこれを得た人たちは・・・そのほとんどが亡くなった。





人間選別は我々が思うより遥かに昔から進められていたらしい。




・・・第八話につづく。

第八話 覚知

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原作
白鯨百一氏作:本土決戦






2035年、消費税はそのとき20%だった。

私たちの世代が肉体労働を嫌ったので、そういった作業は老人や移民が請け負った。

ふらふらしながらゴミや鉄屑を収集する八十代の老人を見るたびに、私は長生きすることを死ぬほど恐れた。

過労死する老人に国は何もしなかったし、介護放棄をした家庭からは、とんでもない悪臭が放たれることもあった。



多くの若者は、最初は馬鹿にしていた移民たちに収入で追い越される羽目になった。

自治体にとって採算の取れない水道事業は自由化され、役所から外国資本に手渡された。




ここからが、本当の地獄の始まりだ。




最初は自由競争により、水道代が安くなるといううったえだったが、

それは最初だけでむしろ自由な企業独占により以前の四倍にも跳ね上がり、日本人独特の「湯船に入る習慣」はなくなった。

週に二回ほどシャワーを浴びられれば贅沢なほうだ。

夏は逆に湯船に水を貯め、二週間くらいはその水で過ごした。



だから皆、汗なんてかきたくなかった。


私は若い子が羨ましいと思った。

私は便利で豊かだった頃を知っている。

少なくとも三十までは、カネが欲しいと思ったが、水が欲しいなんて思いもしなかった。





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いまとなってはそんなこと知らない方が幸せだ。

世界的にも、日本とヨーロッパ諸国の地位はどんどん低下していった。


いま日本のGDPは世界で十五位まで低迷し、五年前に人口も八千万人を切った。


日本だけではなく、世界中どこでも経済の鈍化に悩んでいたが、

それでも中国、インド、フィリピン、インドネシアといった人口の多い国は、次第に世界経済の主役になっていった。



アメリカも強かった。

アメリカには貧しいが力のある庶民がまだたくさんいる。

我々のように一度豊かさを味わって、やる気をなくした庶民とは違うのだ。



私たちは動物として、退化していた。

侮辱されても、悔しいとは思わなくなった。

確かに中国は、二千年代からの急成長の後、そのあまりに雑な経済政策で何度も経済危機を迎え、

そのたびに新興富裕層は没落したが、それでもそのブロックは人口十四億のうち沿岸部の一億にも満たない。

経済危機を迎えても、あえてリスクを負い、エネルギーを出し惜しみしない貧しい人たちがあとからあとから出てきた。




要は、貧しくても生命力に溢れた国民を多く持つ国家が国力を上げていったのだ。




人間の本能を活発に維持するには、ある種の飢えや危機感がどうしても必要だ。

コンピュータに例えれば、いくら新品のソフトを入れても、OSに不具合があれば意味がない。

私たち日本人のOSは退化してしまっていた。


この頃の日本は、「総うつ病社会」といって差し支えなかった。

しかし、韓国や一部ヨーロッパ社会のように、自分たちよりひどい状況に陥っている国をみて、ほっとしていたのだ。



右寄りの人間は、うつ病の特効薬は戦争しかないと喚いていた。

ところが、いまさらどのように、どんな理由で戦争するのか・・・。

Mg兵器の抑止力はまだ幅を利かせていたし、他国領土にでも侵攻しなければ、局地的小競り合いも意味がない。

しかし、戦前の植民地には経済的効果などなかったと、その後の計算で証明されている。


確かに2020年頃の不景気で「昔なら戦争が起こっているはずだ」と囁かれたが、

いまにして思えばすでにあの頃、『国力を掛けた経済戦争』が始まっていたのだ。





日本はその戦争に負けたのだ。





知らない間にはじまり、知らない間に終わり、負けても自分たちは敗戦国だという自覚がないのだから、

本当の戦争よりたちが悪い。


毎年自殺者は四万人、過労死する老人は八千人、介護を放棄された餓死者が三千人、

職があるのに無気力やうつで引きこもる若者が百万人以上。





もう立派な敗戦国じゃないか!


第九話につづく・・・。

第九話 浸蝕

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原作
白鯨百一氏作:本土決戦






中国が日本を属国にしようとしている噂は私が若い時からあったが、

その当時は漫画めいた陰謀論に過ぎなかった。




しかし、2030年代後半からそれは真実めいてきた。

2037年にアメリカ軍が、沖縄にある米軍基地を放棄撤廃したからだ。


かつての経済力のない日本は、アメリカにとって「お荷物」でしかなかった。

日米安保は形式だけのものとなっていた。




アメリカ政府は相変わらず中国と反目していたが、それ自体には何の意味もない。

もう国をコントロールしているのは、政府や政治家ではなく、




世界の資本家たちだったからだ。





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国という枠は反目していても、資本家同士は互いをビジネスパートナーとして見なしている。

彼らは自分たちが共に利益を上げるためにはどうしたら良いか、その方法論しか考えていないのだ。





もっと簡単にいえば、いかに一般庶民を『気付かれないように奴隷化するか』、

ということについての方法論しか頭にないということだ。




残念ながら、あの手この手で搾取され尽くした結果、




彼らにとって、もう日本はなんの旨みもない

「味のなくなったガム」

でしかなくなってしまった。












反対運動の影響で、普天間基地から辺野古への移転はしばらく引き延ばされたが、

わずか数年で基地はお化け屋敷になった。




普天間基地の跡地には「沖縄ディズニーランド」が建設された。

なぜかそこは、いまどきの日本にしては珍しく、世界の富裕層と中国人観光客のおかげで賑わっている。




これも、アメリカと中国資本連携の賜物だ。






沖縄には多くの中国人が移住してきた。

米軍が在中を放棄撤廃したことで島の経済が何もかも成り立たなくなり、

具体的対策を打ち出せない国も県もこれを

「仕方がない」

として容認していたからだ。







経済的に、もはや沖縄は実質中国領土だった。






第十話につづく・・・。

第十話 上陸

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白鯨百一氏作:本土決戦







そして2040年。




ついに戦争が始まった。


隣国への侵攻というのは戦後なかったわけではない。

1979年ソビエトはアフガニスタンに侵攻し、1990年サダム・フセインはクウェートに侵攻した。

そして、中国は日本の沖縄と九州を自国領土とする「九州併合宣言」をし、その理由、正当性を以下のように述べた。



「すでに日本は治安維持、福祉、生活保障の面から、主権国家の機能を成し得ていない。日本には850万の中国同胞が生活しており、この国の経済を支えている。彼ら同胞の保護及び、日本国民の経済生活の向上にとっても中国共産党傘下に入ることが望ましい。」




 もちろん、アメリカをはじめとする国連理事国は反対決議をしたが、武力でそれを止める意思は示さなかった。

中国のいう通り、いまや骨抜きになった日本人は中国資本に組み入れた方が多くの国にとって有益であり、

これが前例になれば東日本で同じことができる。




しかしなにより彼らを黙らせたのは、中国が今回の侵攻作戦によって日本人を一人たりとも殺害しないと決めたからである。


二十五年前の香港のようなことや、十三年前の台湾のときのような流血戦は起こさない、と宣言したからだ。





中国には秘策があった。





それはUMガスという彼らの虎の子の秘密兵器で、一種の生物兵器である。

人は殺傷しないが、人の脳に作用し、記憶の大部分を喪失させるというものだった。

つまり日本人は絶対に抵抗しないのだから、殺害の必要はないのである。



そして、一度ほとんどの記憶をなくした日本人に、毛沢東風の洗脳教育をすれば、

日本人を労働力として使いやすくすることができる。

その際、中国人移民は指導的な立場に立ち、日本人はその下に置かれる。



もちろん、日本の陸海空の自衛隊も福岡をはじめとする北九州に終結したが、

一度中国軍の上陸を許せばその武力は意味がなかった。

一般人を人質に取られるからだ。

それに、日本の自衛隊装備はかつてのような最先端のものではなく、隊員の指揮も低かった。




UMガスの拡散弾頭の付いたミサイルが合計六発、

福岡に二発、長崎に一発、佐賀に一発、熊本に一発、宮崎に一発着弾したのだ。





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「お母さん、、、ねぇ・・・お母さん!」




「あれ・・・この子、、、誰かしら?・・・ここ・・・は?私どこにいるのかしら・・・?」









「おまわりさん!大変ですよ!おまわりさん!」




「・・・おまわりさん?・・・おまわりさんって、いったい何だ?俺はいったい・・・誰なんだ?」











 廃人同様だった。




そのガスを吸った人間は、記憶を失い、迷子の子どものように街をさまよった。

事前にその情報を本国から聞いていた中国人だけが防護マスクをして、武装すると街を練り歩いた。




 こうなると自衛隊は手を出す術がなく、福岡、鹿児島、宮崎から約十万の中国兵上陸を許した。


そして、無防備になった九州の侵略が始まった。

南九州の人間はまだ正気を保っていたが、北上をする中国軍を黙って見ているしかなかった。




なんといっても、終結戦略拠点は福岡だ。




多くの日本国民があきらめと屈辱をもってその光景を「テレビで」眺めていた。




 中国人は一般人を攻撃しないといっていたが、その約束を破り発砲がはじまった。









そして約一週間は北九州で多くの弾丸が撃たれ、血が流れた。




第十一話につづく・・・。

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